遺伝子は人間だけでなく、犬や猫といった動物から植物に至るまで地球上のあらゆる生命体の基礎を構築しているものです。
父母、さらに祖父母から受け継いだ遺伝情報が凝縮しているため、究極の個人情報と喩えられることもあります。
遺伝子の中には潜在的な病気を引き起こす因子の情報も組み込まれており、これを解析することで遺伝的な病気が発症する前にあらかじめリスクを知ることもできます。
この解析を可能としているのが遺伝子検査で、「人ゲノム解析計画」として1991年に6か国の科学者数百人が集結して、1人分の遺伝子解明研究プロジェクトが開始されました。
このプロジェクトが完了したのは2003年で、人間の遺伝子は約23兆個もの塩基配列で構成されていたことがわかりした。
たった1人の人間の遺伝子を解析するのに12年もの長い年月を必要としたのですが、その3年後の2005年に革命的な遺伝子分析技術が発明されて、わずか1日で遺伝子検査をおこなえるようになったのです。
当初は医療機関に赴いて検査を受ける必要がありましたが、2012年にアメリカの製薬会社が遺伝子検査キットを発売したことで、医療機関に赴かなくても個人が自宅で簡単におこなえるようになりました。
これが遺伝子検査キットのはじまりです。遺伝子検査キットで可能にしている遺伝子検査は、ガン・生活習慣病といった疾病に関する検査になっており、これらを調べるために唾液のサンプルを摂取する必要があります。
摂取したサンプルは2本~4本の試験官に分けて密閉し、遺伝子検査キットを販売している会社に郵送で送ります。
この時、大切な遺伝子を取り扱う為、普通郵便ではなく書留を選択するのが安全といえるでしょう。
検査結果は約1か月後に書留で自宅に届き、遺伝子検査の結果が詳細に記述された書類が同梱されています。
遺伝子検査キットは1万円前後で購入できるもので、現在では誰もが身近に受けられるものになりました。
アメリカでは未だに人種差別が根強くのこっており、この遺伝子検査が普及したことを懸念する声も広まっています。
遺伝情報によって雇用や保険加入の制限が起きないようにと、2008年に遺伝情報差別禁止法が制定されましたが、さらに究極の個人情報の流出を防ぐ手段を模索しているところです。
たった少量の唾液で、人のあらゆる情報を解析できる技術は生み出されて間もないですが、今後も大きな躍進を遂げていくものでしょう。
また、その躍進が正しく利用されるものであるように、新たな法の制定も課題になっています。